PC-LCM(PCライフサイクルマネジメント)とは?

この記事を書いた人
鈴与システムテクノロジー・PCLCMヘルプデスクチーフ
ビジネスにおいて、PCは不可欠なツールです。しかし、その管理は想像以上に複雑で、多くの時間とコストを要します。そのため重要なのが、PC-LCM(PCライフサイクルマネジメント=管理)です。PC-LCMとは、企業が保有するPCの「調達」から「導入」「運用」「廃棄」にまでの全工程を一元的に管理する仕組みのことをいいます。
PCは購入して終わりではありません。従業員への配布、ソフトウェアのインストール、セキュリティ対策、トラブルシューティング、そして最終的なデータ消去と廃棄まで、そのライフサイクルを通じて継続的な管理が求められます。PC-LCMは、これらのプロセスを最適化し、企業全体のITガバナンスと業務効率を高めるために不可欠な考え方です。テレワークの普及によりPCの利用環境が多様化したことで、その重要性はますます高まっています。
PC-LCMの主要なフェーズ

PC-LCMは、PCのライフサイクルを以下の4つの主要なフェーズに分けて管理します。それぞれのフェーズで適切な対応を行うことが、全体最適化の鍵となります。
導入フェーズ
このフェーズでは、企業のニーズに合ったPCの選定と調達計画を立てます。
調達したPCを利用可能な状態にする段階です。
その上で、スペック、コスト、セキュリティ要件などを考慮し、最適なモデルを選びます。リース契約や購入といった調達方法の検討もここに含まれます。
「キッティング」と言われ、OSのインストール、必要なソフトウェアの導入、ネットワーク設定、セキュリティパッチの適用、そして各社員への配布と初期設定のサポートなどを行います。
資産管理フェーズ
利用PCが、どんな状態で誰が利用しているかを管理します。
PCの資産管理では、利用中のPCがどのような状態で、誰が使用しているかを把握します。PCを導入することはスタートに過ぎず、その後の管理が重要です。導入したPCの状態や利用者を把握していないと、セキュリティ上の重大な問題が発生する可能性があります。また、盗難や紛失が発生した際には、誰がそのPCを使用していたかを把握することが非常に重要です。
保守フェーズ
PCが業務で使用されている間の管理には、多種多様な多くの対応が必要です。
定期的なソフトウェアアップデート、アンチウイルスソフトの管理、故障時の修理対応、問い合わせ対応、トラブルシューティングなど、このフェーズでの適切な管理が、業務の中断を防ぎ、業務の生産性を維持するために非常に重要です。
廃棄フェーズ
PCの利用期間が終了したら、適切に処理することが必要です。
PC内の機密データや個人情報の完全な消去は、情報漏洩リスクを防ぐ上で最も重要なプロセスの一つです。
物理的な破壊、データ消去専門業者への依頼、リサイクルといった適切な廃棄方法の選択をします。その中には、従業員の退社後リセットしてPCを再利用することも含まれます。
全てのフェーズを通して、安心安全で、業務の生産性向上と、効率的な「資産管理」をすることも重要な役割です。
PC-LCM導入のメリット
PC0LCMを導入すると、さまざまなメリットがあります。
- 管理工数の削減と業務効率化
PC管理に関わる定型業務を効率化し、IT部門や管理部門の負担を大幅に軽減できます。
- TCO(総所有コスト)の削減
PCの調達から廃棄までの全コストを見える化し、無駄を排除することで、結果的に全体のコスト削減に繋がります。
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- 情報漏洩リスクの低減
適切なデータ消去やセキュリティ管理を徹底することで、PCからの情報漏洩リスクを最小限に抑えられます。
- ユーザーサポート頻度の軽減
標準化されたPC環境と迅速なトラブル対応により、ユーザーからの問い合わせやサポート依頼の頻度を減らし、従業員の生産性向上にも貢献します。
自社でPC-LCMを行った場合の課題

PC-LCMの重要性は理解しつつも、自社だけで完結させるにはいくつかの課題が伴います。
- 専門知識と体制の不足
PC管理には、ハードウェアからソフトウェア、ネットワーク、セキュリティまで幅広い専門知識が求められます。これらを網羅した人材の確保や育成は昨今の採用事情からもハードルが高くなっています。
- リアルタイムのデータ管理の難しさ
何十、何百台規模のPCの状態をリアルタイムで把握し、管理することはとても手間がかかります。人的だけに頼った作業では限界があり、効率的なツールやシステムが必要になります。
- 多様化するPC環境への対応:
テレワークの普及・外出先での利用拠点が広がりで、従業員が使用するPCの機種や利用場所、ネットワーク環境が多様化しています。これらの個別最適化された環境すべてに対応するのは、大変な工数がかかります。
PC-LCMサービス活用のすすめ
これらの課題を解決し、PC-LCMのメリットを最大限に引き出すために、PC-LCMサービスの活用が有効です。専門のサービスにアウトソースすることで、自社の負担を軽減しつつ、より効率的でセキュリティの高いPC管理を実現できます。
アウトソーシングの最大のメリットは、専門知識やノウハウを持つプロフェッショナルにPC管理を任せられる点です。
これにより、自社のIT部門はより戦略的な業務に集中でき、本来の事業活動に注力することができます。
調達から廃棄までの各フェーズで発生する複雑な業務や専門的な対応を任せることで、前述した「専門知識の不足」や「リアルタイムデータ管理の難しさ」といった課題を解決できます。
とくに、ワンストップサービスは、PC管理に関わるあらゆる業務を代行し、企業のPCLCMを強力にサポートします。これにより、企業は安心してPC環境を運用し、ビジネスの本業に集中できます。
PC-LCMを導入する判断は?

PC-LCMの導入に向いている企業は、PCを多数利用する企業や、IT管理部門の人員が不足している企業、情報セキュリティを強化したい企業に特に適しています。
特に社内に人材がいない場合は、今や必須の業務なので、導入判断にはなります。
それ以外の判断としては、PC-LCMサービスを利用すると、具体的にどれくらいのコスト削減が見込めるかも一つの目安になります。
企業の規模や既存の管理体制によりますが、PCの管理工数の削減は当然ですが、意外に工数に算出されていないトラブル対応、従業員からの多数のヘルプデスク対応が減少すること、あるいは、専門担当の採用費など、数%から数十%の削減が見込まれるケースがあります。
一度見積もりなどを出してみて、実際にかかっている工数を算出してみてはどうでしょうか。
さらに導入の判断で迷うのが、すでに利用している中古のPCの利用についてです。
PC-LCMサービスでは、既存のPCを利用したサービスもあります。また廃棄の場合は、データ消去を含めた適切なPCの廃棄・処分まで対応しています。情報漏洩リスクを避けるためにも、専門サービスへの依頼が推奨されます。
まとめ
PC-LCMは、単なるPC管理ではなく、企業のIT戦略と情報セキュリティを強化し、業務効率とコスト削減を同時に実現するための重要な経営戦略です。自社でのPC-LCM運用に課題を感じているのであれば、専門のPC-LCMサービスを活用することで、これらの課題を解決するだけでなく、鈴与のPC-LCMのような「ヘルプデスク」が充実したサービスで快適な環境を整えてみてはいかがでしょうか。
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